『菜根譚』の最終回の第4回目は、「人間の器の磨き方」です。人格の陶冶には長い年月がかかると繰り返し述べその重要性を訴えています。既存の価値観がゆらぐ現代において、我々は「どう生きれば人間的に成長できるのか」は永遠の課題です。以下4つの条が印象的です。
まず、「自分の心に向き合え」【前集一一九】。喜怒哀楽や欲望が起こったときに、ふと立ち止まって自分の心と対話する必要性を説いています。「風やすらかに浪静かなる中に、人生の真鏡を見、味淡く声しずかなる処に、心体の本然を識る」【前集二二二】。雑念を消すことの重要性を指摘しています。スティーブ・ジョブスが愛した「禅」に通じる考え方であり、心を無心にすることが、ビジネスのイノベーション誕生の土壌を作るのかもしれません。
二つ目は「ゆとりの大切さ」【前集二○】。あれもこれも手を出さず、今していることを減らし、時間的気持ち的に余裕を持つことを勧めています。つまり、ゆとりある控えめな気持ちをもつことが、天に通じ悪い結果は起きない、といってるのです。ビジネスでこの余裕をもつことは、現実的に大変ですが、適切な判断をするためにも心しておきたい言葉です。
三番目は「中庸こそが王道」【前集七五】。『菜根譚』の重要な思想のように思います。忙しいと忙しさにかまけ、暇だと何もしないという形になりがちだが、何事も極端ではいけない、というのです。動と静のバランスの大切さを指摘しています。そして世俗まみれもいけないが、世俗離れもいけない、何事もほどほどがいいとの考えは、ビジネスでもバランスのとれた判断に必要でしょう。
そして四番目は「高い志を持て」【前集四三】。世俗から一歩抜け出すには気持ちを一歩高いところに持て、と言っています。これは具体的にはなかなか難しい。ビジネスでいうと、儲けることばかりに夢中にならず、「損得の先にある人々の幸福をもたらす気概」などを持つことを意味しているのでしょうか。これが出来れば、なるほど、器は大きくなりますね。
さて、今回で四回に渡った『菜根譚』は終わりです。私は正直、この番組で紹介させるまで、本書を全然知りませんでした。しかし、内容の一部を学んで、本書の内容は、本場中国以上に日本で受ける内容であるし、また江戸から明治~現代まで主要な人物の多くに、実は大きな影響を与えてきた処世訓である、という印象が大きい。今後私も人生やビジネスの壁にぶつかって悩んだ時、本書を紐解いて解決するヒントを得たい、と思っています。
投稿者プロフィール
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少数意見の中にこそ真実のヒントが隠されている、と考えるマイナー・天邪鬼的発想が大好きな人間です!
好きな本・ドラマのジャンルは、冒険・歴史・伝記・古典。例えば、「スタートレック・ヴォイジャー」。どうにもならない場面に直面したときの考え方・決断力が描かれて、ヒトのロマンとは何かを考えさせてくれるドラマで大ファンです!
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